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石原氏がここで述べているのは

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新・堕落論とセットで読んだ。
本書は著者が産経新聞に寄稿している連載をまとめた物であるが、過去に書いている時点でまるで日本の近未来を知っているかの如く非常に正確に予測されているのに驚かされた。本書はまさしく「日本を蝕む病巣への処方箋」と言えよう。一つ一つが数ページで短く纏められているので読み易い。
本書に書かれている事が具現化されれば日本国はどんなに素晴らしい国となり日本国民も自信を持てるかと思うと歯軋りをしてしまう。
著者の本を読んでいると頭が回転し出して目も体も熱くなるので就寝前には決して読まない事にしてる。
「東京から日本を変える」を有言実行している石原さんには益々と元気で活躍してもらいたい。

これは、産經新聞の「正論」に掲載された平成十八年三月から平成二十四年六月までの石原氏の論文を時系列的にまとめて一冊の本にしたものである。冒頭の産經新聞出版・編集部からの「注」によると、「日本は多くの喫緊の課題を抱えていますが、ここ数年、それらの問題に前進がみられません。石原慎太郎氏は、そうした課題に対して終始一貫、スタンスを変えずに発言を続けています。本書では、社会の流れ、発言の流れがわかるように古い順から時系列でまとめました。」となっている。

 石原氏がここで述べているのは、社会、政治、経済、国際に関しての論であり、全部で73編からなっているので、これを読めばここ数年に石原氏が懸念を表してきた日本国の問題点を復習できるようになっている。私は、自分の住んでいる、そして子や孫がこれから生きて行く日本国というものに対しておおいに愛着と関心があるので、一遍一遍に啓蒙される思いで読んだ。

 中でも私が感銘を受けたのは、「現憲法の歴史的正当性」、「実存の希薄化」(インターネットなどの普及により人同士の接触機会が減った事について提言)、「靖国再考」、「人間の真の強さ」(全盲の福島・先端科学技術センター教授=石原氏の小説、再生、のモデルになった方について)、「無償の行為の価値」(アマチュアスポーツについて)、「国家の戦略とは何か」、「核保有に関する覚え書き」、「天皇陛下の勇気」(東日本大震災に関して)である。

 石原氏の言動や行動について、保守的とか、専横的とかの批判もあるだろうが、しかしこの人ほどに内外を問わず日本国の対面する問題について提議し、政府や経済界や社会を叱咤・激励して、更に啓蒙する人を知らない。編集部の「注」にもあるように、「スタンスを変えずに発言を続けている」ことが我々への励みになっていると思っている。過去の論文の焼き直し、と侮るなかれ、である。読後に背筋が伸びた思いがする。

by denhazim | 2012-11-06 18:01