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 2プラス2共同文書は名指しは避けつつも、中国への脅威認識をにじませた

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3日の日米2プラス2は日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定で合意したことが最大の成果だ。平成9年の前回改定は朝鮮半島有事を念頭に日本の役割は「後方支援」が中心だったが、中国による高圧的な海洋進出への対処に主眼を置く再改定で「前線」に立つべきは日本。その実効性を担保するには集団的自衛権の行使容認など壁も立ちはだかる。

 「海洋における力による安定を損ねる行動」

 2プラス2共同文書は名指しは避けつつも、中国への脅威認識をにじませた。共同文書はガイドライン改定の前段となる「共通戦略目標」と位置づけられ、平成17年策定の戦略目標が中国について「建設的な役割を果たすことを歓迎」としていたのとは対照的だ。

 共同文書には「平時」「緊急事態」との文言がちりばめられ、武力攻撃と認定する「有事」とは異なる事態が日米協力の焦点に浮上したことを明示した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺などで領海侵入を繰り返す中国公船との衝突や尖閣への不法上陸を想定している。

 そこで求められる日米協力の課題として情報収集・警戒監視・偵察(ISR)の「共同」化を特記し、ガイドライン再改定で「隙間なき対応」を確保することを掲げた。前回改定では平時と周辺事態、日本への武力攻撃という3区分での協力内容を規定したが、今回は平時に主眼が置かれるわけだ。

 「日本の役割を拡大」とも明記したが、宿題となるのが集団的自衛権の行使容認だ。政府高官は「集団的自衛権の問題が決着しないと日米の役割分担が詰められず、そもそも行使容認を反映しないガイドライン再改定は無意味だ」と指摘する。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題もノドに刺さったトゲといえる。

 共同文書は、沖縄本島周辺の米軍訓練水域内での漁船操業など沖縄側の要望について、「11月末」までに結論を出すとした。普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古での埋め立て申請に関し、仲井真弘多知事の可否判断が12月以降になることに照準を合わせた措置だ。

 ただ、埋め立て許可を得られるメドは立っておらず、これも解決しない限り、「十全なパートナーとなることを決意」とうたった共同文書は空証文となる。
by denhazim | 2013-10-05 09:23