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日本として何をすべきか?


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日本として何をすべきか?
                 
【MSN産経ニュース:2014/09/29 07:30 JST】 米国のオバマ大統領は、9月22日にシリア北部の『イスラム国(IS)』拠点に空爆を開始した。中東への不関与政策をとってきたオバマ氏がISに対し反転攻勢に出るのは、11月の中間選挙を意識したからである。
 また、ISの苛烈な『イスラム全体主義』も無視できない段階に入った。正統カリフ制の意義とは無縁な『カリフ国家』を僭称するISは、イスラム法の恣意的解釈による残虐行為を躊躇わない。北イラクのヤジド派の虐殺、キリスト教徒の迫害(強制改宗、磔刑、断頭刑、強姦、女性の性奴隷化)、軍兵士と部族兵の大量処刑などは、歴史にも類を見ないほどだ。
 ISはアルカーイダと違い、欧米に直接攻撃を仕掛けたことは無い。にも拘らず、IS攻撃に踏み出した主な要因はやはり石油である。ISはイラクとシリアの石油生産や市場価格に影響を与え始めたからだ。彼等は、トルコやヨルダンの密輸業者にバレル当たり25ドル、タンカー当たり1万から1万2千ドルの廉価で原油を売り、1日に200万ドルを稼ぐという観測もある。米国と湾岸諸国はISの油価への影響を許せない。今回の空爆でサウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦に加えて、それらと折り合いの悪いカタールも作戦に参加したのは偶然ではないのだ。
 事実、ISがサウジ等、君主制国家を否定することによる中東安全保障上の危機は無視できないものだ。ISはリヤドを次の目標と公言して憚らず、その野心は国際石油資本の脅威となる。兵員数は、6月の6千人から9月には3万人を超えた。またイラク軍から1個師団相当の米軍供与兵器を鹵獲した結果、今やクウェート軍の2倍の力量を誇るとさえ言われる。しかもISは、世界最強と目される米軍兵士とも違い、『聖戦』で喜んで死ぬ覚悟を決めた戦士ばかりなのだ。IS兵1人は他国の兵10人分に相当するという説も荒唐無稽といえない。
 しかも、ISには欧米を含めた世界中からテロ戦士が参入している。ロシアのチェチェンやダゲスタンからも多くの若者がはせ参じた。折からアルジェリアでは、IS空爆に抗議してフランス人を拉致殺害する事件も生じた。この動きを看過すれば、ロシアや米国につながる広域的テロ・ネットワークがつくられ、本国にもテロが拡散するのは火を見るより明らかだろう。
 米国はシリアでアサド政権に抵抗する自由シリア軍を支援すると共に、その両者と対決するIS攻撃に踏み込むことで、シリアの複雑な三者鼎立状態に関与せざるを得ない。これは、かつてのイランとイラクの二重封じ込め政策よりも複雑なパズルに他ならない。アサド氏はIS空爆を奇貨として失地回復を狙うはずだ。他方空爆は、対決の長期化で米国を疲弊させ中東の地政学的変動を目指すISにとって、想定内の動きであろう。ISの拡大を阻止できる中東新戦略の国際構築とは何か。難民支援等に約2550万ドル(約28億円)の供出を決定した日本の知恵の見せ所でもある。(山内昌之)
by denhazim | 2014-09-29 19:03