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日米欧の中銀にばらつき 「市場との対話」に苦戦 米ゼロ金利解除



日米欧の中銀にばらつき 「市場との対話」に苦戦 米ゼロ金利解除

 米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切ったのに対し、欧州中央銀行(ECB)は金融緩和策を拡充、日銀は現行の大規模金融緩和を継続するなど、日米欧中銀の“路線”にバラツキが出始めた。各中銀は金融市場の動揺を小さくしようと努めているが、「市場との対話」に“苦戦”を強いられているのが実態だ。

 「少なくとも私は今回の決定が市場の予想通りだったと信じたい。サプライズではないと思う」。FRBのイエレン議長は16日の記者会見で、市場との対話に心を砕いてきた胸の内を吐露した。

 FRBには苦い経験がある。バーナンキ前議長が2013年5月、量的金融緩和政策の縮小を示唆しただけで市場が混乱した「バーナンキ・ショック」だ。今回の利上げでも決定がサプライズになれば、混乱が起きる懸念があった。

 イエレン氏にも14年3月の就任初の記者会見での発言が「15年春の利上げを示唆した」と受け止められて株価を下落させた過去がある。しかしその後は「忍耐強く待つ」などの多彩なFRB用語で利上げ時期についてのメッセージを発信。今月2日には「利上げ実現を楽しみにしている」と述べて市場を確信させた。

 こうしたイエレン氏の対話力には「非常に効果的にFRBの意図を伝えた」(世界銀行のキム総裁)との評価が高い。16日の利上げ発表後は新興国株が買われる一方、ロシアやブラジルの通貨が売られるといった反応もあったが、大きな混乱は起きていない。

 一方、「市場に過剰な期待を抱かせて失敗した」(JPモルガン証券)のはECBのドラギ総裁だ。

 10月下旬の記者会見で、追加の金融緩和を示唆しただけで「世界同時株高」を演出。ギリギリまで「本音」を明かさない伝統的な中銀スタイルとは一線を画し、「ドラギ・マジック」と評された。
by denhazim | 2015-12-18 10:36