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★ミャンマーで、押さえておくべき主な法律(1)


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★ミャンマーで、押さえておくべき主な法律(1)
 ミャンマー法制度に戻るが、ビジネスの観点、特に日系企業のミャンマー進出の観点から重要な法規制はまずは以下の3つがあげられる。

1.ミャンマー会社法 (Myanmar Companies Act)
2.外国投資法 (Union of Myanmar Foreign Investment Law)

3.国営企業法(State-owned Economic Enterprises Law)

 上記以外にも経済特区法等重要な法律が存在するが、今回は割愛させて頂く。これから、それぞれについての概要を見たうえで、進出においての論点を確認したい。
1.ミャンマー会社法

 ミャンマー会社法は、1913年に制定され、企業形態の定義、会社の設立や登記方法、株主の権利やガバナンス体制、株式の譲渡等を規定している。前述のとおり、古典的な英国会社法の内容を色濃く残しているのが特徴だ。

 ミャンマーの会社のガバナンス形態も、基本的には英国法のそれを踏襲しており、株主総会や取締役、取締役会、監査人(Auditor)の役割が会社法に規定されている。株主総会は会社の最高意思決定機関であるが、商号の変更や、定款の変更、剰余金配当、合併や解散等、意思決定の内容は日本のそれと比較してそれほど多くない。むしろ、基本的には経営に関する事項は取締役会で決定する形となっている。

 ミャンマーにおける会社設立においては、下記の外国投資法に基づく申請を行うかにかかわらず、ミャンマー会社法に則った設立手続きを行う必要がある。また、会社形態以外にも、支店(駐在所)の設立に関しても、この法律に則って行われる。

2.外国投資法

 外国投資法は、外国からの投資を促進させるために1988年11月に公布された。比較的大規模な投資を行う場合は、外国投資法に基づく許可をミャンマー投資委員会(Myanmar Investment Commission (略称MIC))から受けて、実行するケースが多い。一方でよく誤解されやすい点だが、外国からの投資においては、必ずしもすべて外国投資法に基づき申請を行う必要はない。

 外国投資法のメリットは、許可された場合、優遇税制を受けられることだ。外国投資法に基づいて設立された一定の事業を行う会社は、事業開始から3年間所得税が免除される。この減免期間は、今年の法律改正で5年に延長されることが見込まれている。また、それ以外にも、所得税の減免期間の追加や固定資産の加速減価償却、損失の繰越し等、その他の優遇税制が個別に認められる場合もある。

 一方で外国投資法での申請を行う際に必要な条件が存在する。外国投資法においては、最低資本金を、製造業で50万米ドル、サービス業で30万米ドルとしている。また、申請の際の条件として、機械保険、火災保険、海上保険、事故保険等の保険に加入する必要があり、その際はミャンマー保険会社の保険に加入(2)することが要求される。また、MIC指定の銀行での外貨口座開設義務、雇用におけるミャンマー国民優先の義務等を負う。

 なお冒頭に記載のとおり、外国投資法は脱稿時点で2012年改正の手続き中であり、近々に、その改正法の全容が明らかになると思われる。

(1)本稿の目的は、ミャンマーの法制度や法律の内容を網羅的に説明するものではなく、あくまでも脱稿時点での進出形態の検討に必要なフレームワークの説明である旨ご留意頂きたい。個々の法律の内容や最新の法制度については、弁護士等にご確認されたい。

(2)外国の保険会社に加入する場合は、ミャンマー保険会社の許可が必要

3.国営企業法

 ミャンマーにおいては、重要な産業については国営企業法によって国営事業と定めており、外資企業は原則としてこういった事業に参入することはできない。ただし、ミャンマー政府と民間企業の合弁形態であれば、政府の許可を条件に参画することが可能なケースもある。

 国営企業法で規定されている業界には、原油・天然ガスの採掘や、宝石類の採掘等、比較的大型の事業や、電力供給事業、郵便・通信事業、航空・鉄道事業といった、比較的公共性の高いものをはじめ、森林保全や漁業に関する事業も含まれるので、事前に確認が必要だ。(3)

by denhazim | 2012-11-15 11:28