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DJ-危うい日中関係、ダボス会議の安倍発言で脚光浴びる(1)

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DJ-危うい日中関係、ダボス会議の安倍発言で脚光浴びる(1)
【ダボス(スイス)】安倍晋三首相は、今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の主役の一人となった
22日の基調講演では「日本は復活した」と宣言し、経済の回復について熱く語った。
 だがそれだけではない。記者団に対して首相は、現在の日中関係の緊張を第1次世界大戦開戦前の英国とドイ
ツの対立と何気なくなぞらえ、これがさらに大きな波紋を投げ掛けた。
 安倍首相は確かに、戦争が始まる見通しはないと明言した。だが、首相発言がきっかけで、ダボス会議を毎年訪れる銀行家、経営者、政治家などの出席者の間で、経済規模が世界第2位の中国と第3位の日本の間で武力衝突が起きる可能性が話題に上った。
 ダボスのリゾートで開かれた非公開の夕食会やカクテルパーティーでも、東シナ海に浮かぶ沖縄県・尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐる対立がもとで日本と中国が戦争を始める確率が話題に上った。
 世界経済を動かす力を持つ人々の間で、正真正銘のリスク要因の一つとして本格的な戦争が話題になっているという事実は、それだけでも困った兆候だ。
ダボスのリゾートで開かれた非公開の夕食会やカクテルパーティーでも、東シナ海に浮かぶ沖縄県・尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐる対立がもとで日本と中国が戦争を始める確率が話題に上った。
 世界経済を動かす力を持つ人々の間で、正真正銘のリスク要因の一つとして本格的な戦争が話題になっているという事実は、それだけでも困った兆候だ。
 日中の政府高官は、侮辱的な言葉の応酬を何週間も続けている。英紙デーリー・テレグラフの報道によると、中国の劉暁明駐英大使は、日本を英人気童話「ハリー・ポッター」シリーズの悪役のヴォルデモート卿になぞらえた。劉大使による日本非難は、安倍首相が12月に靖国神社を参拝したことが引き金となった。アジアでは、靖国神社は広く日本の軍国主義の象徴だとみられている。
 それにしても第1次世界大戦の原因に関する安倍首相の考察や、今のアジアが当時と似た状況にあるとの見方への衝撃は大きい。第1次大戦開戦(1914年)後100年を迎えた今年、歴史学者や安全保障に詳しい専門家の間でそうした話題が広く論じられているとしても、だ。
安倍首相の発言についてコメントを求められた中国外務省の秦剛報道官は「軍備増強と戦争への準備」を進めているとして、安倍首相を非難した。
 米政府の諮問機関である国家情報会議の議長を務めた経歴を持つハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は、歴史が伝える「警告」は理解できるが、「第1次世界大戦との類推を誇張し過ぎるのは危険だ」と話した。当時の世界は現在とかなり違うとの見方も示した。
 まず、100年前と違い、現在の世界には核抑止力が備わっている。日本にはアジアの警察官を自認する米国の強い後ろ盾がある。その米国は、尖閣諸島も日米安保条約の対象範囲内だとの見方を明らかにした。つまり、たとえ限定的な紛争であっても、始まれば米中間の核兵器をめぐる対決につながるのではないかとの不安がすぐに浮上することになる。
 愛国的なパフォーマンスが日本でも中国でも国内政治面で有利に働くのは事実だが、大胆かつ困難な経済改革を集中的に進めている両国の政治指導者らにとり、外交関係の緊張が始末に負えないほど深刻化することを回避したいと考える理由は十分にある。
 いわゆる「アベノミクス」が長期的な成功を収めるかどうかについての確証はどこにもないが、日本経済は安倍政権下で、ここ20年余りで初めて活気が戻った兆候を見せている。
 一方の中国では、より低率ながらも持続性のある成長を達成しようと、習近平国家主席が国内経済の微妙なかじ取りに専念している。
 ただ一つ、不確定要素がある。北朝鮮だ。北朝鮮は中国も含む全ての近隣諸国への脅威であり、ごく小さな領土をめぐっての対立は避けたいと周辺国政府に思い直させる勢力になる可能性がある。核兵器保有国でさらに不安定さを増している北朝鮮政府は、地域の当事者間の対立にうまくつけ込む方法を常に探っている国だ。外交上の緊張はすでに、そんな北朝鮮の思うつぼとなっている。
 日本による朝鮮半島侵攻と容赦のない植民地支配という古傷が安倍首相の靖国参拝をきっかけに開いたことから、日本と韓国の関係はさらに悪化している。
 一方で米国は首相の靖国参拝に失望を示し、将来的な参拝を控えるよう要請している。参拝で日米関係が試された格好だ。
 今のアジアの急発進を支えた基盤はもちろん、地域の平和だ。平和こそが、世界経済の原動力となっている地域の繁栄を支えている。中国は自ら、平和な国際環境なしでは経済成長を完遂できないとの見方を長い間にわたり示してきた。

 それでも、戦争が起きる可能性は完全に排除できない。国内で強く支持される愛国主義的な圧力にさらされている両国の指導者にとって、何らかの事件をきっかけに対立姿勢を強めずにいるのは容易ではない。例えば、海上自衛隊輸送艦と中国のトロール漁船が衝突した2010年の事件は、日中対立の大きな火種となった。

 ハーバード大のナイ教授によると、同じような出来事が今、発生する「可能性は十分にある」。そうなった場合の結果は、事態の深刻化がどのように抑制されるか次第だ、と指摘した。
 ただ同教授は「戦争にはならないと、けっこう楽観的にみている」と述べた。

by denhazim | 2014-01-29 11:46