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[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は5日、ユーロ経済の支援に向け、政策金利を過去最低に引き下げるとともに、一連の追加支援策を発表した。また日本型のデフレリスクの回避に向け、必要なら一段の措置を講じると言明した。

具体的には、主要政策金利のリファイナンス金利を0.1%ポイント引き下げ、過去最低となる0.15%とした。

また、中銀預金金利をゼロ%からマイナス0.10%に引き下げた。マイナス金利の導入は初めて。上限金利の限界貸出金利も0.75%から0.40%に引き下げた。

ロイターがまとめた調査では、エコノミストは主要政策金利が0.10%に引き下げられると予想していた。中銀預金金利のマイナス0.10%への引き下げは予想と一致した。

マイナス金利の導入は、中小企業向けの融資を促進するとともに、ユーロ高への圧力を和らげる狙いもある。

ユーロ圏のインフレ率は昨年10月以降、ドラギ総裁が「危険ゾーン」と呼ぶ1%を下回る水準から抜け出せず、ユーロ高を通じた輸入ディスインフレが物価をさらに下押しし、景気回復の足かせとなっている。

今回、大規模な資産買い入れによる量的緩和(QE)の決定は見送られたものの、ドラギECB総裁は必要であればさらなる措置を講じると強調した。

なぜQEに踏み込まなかったのかと問われると、「今回決めた措置は大掛かりであると考えるが、これで終わりかと問われれば、その答えはノーだ。われわれはまだ終わっていない」と言明した。

RBSのエコノミスト、リチャード・バーウェル氏は、総裁のこの発言で、「広範な資産買い入れプログラムに対する期待が早急に高まる」との見方を示した。

ECBはさらに融資促進を目指し、金融機関に対して期間4年・4000億ユーロ(5448億6000万ドル)の資金供給オペを行うことを決めた。

総裁は「われわれは今や全く異なる世界にいる。それは低インフレとぜい弱な回復、金融・信用力の弱体化だ」と語った。今回の決定は全会一致によるものとも述べ、「実体経済」への貸し出し増加が目的と説明した。

その他、固定金利でのオペ全額供給を継続するとともに、証券市場プログラム(SMP)の不胎化オペ停止により約1700億ユーロを銀行システムに注入する。また中小企業への支援を目的とした資産担保証券(ABS)買い切りオペに向けた準備を行うことも決まった。

同時に発表されたECBスタッフ見通しでは、2014年のインフレ率が3月時点予想の1.0%から0.7%に、2015年は1.3%から1.1%に、2016年は1.5%から1.4%にいずれも下方修正された。ECBが目標とする「2%を下回るが2%に近い水準」からさらに遠ざかった。

ドラギ総裁は「必要なら、追加の金融緩和策を迅速に実施する」とし、「低インフレが長期化するリスクに一段と対処するため」、理事会は必要なら非標準的措置を講じるコミットメントで一致していると述べた。

大半の措置は大方の予想通りだったため、ユーロは対ドルで当初4カ月ぶりの安値となる1.3505ドルをつけたが、その後は小幅高となる1.3600ドル超の水準に回復した。

欧州株式市場は上昇し、ユーロ圏周辺国国債の利回りは低下した。

<ECB決定にフランスは満足、ドイツは沈黙>

ECBの追加緩和措置発表を受けて、ユーロ高への対応を求めていたフランスのオランド大統領は決定を歓迎する意向を表明。同様にECBに追加緩和圧力をかけていた国際通貨基金(IMF)も「非常に積極的なスタンス」と評価した。

一方、メルケル独首相はコメントを控え、ECBは政府から独立して決定を行ったとした。ショイブレ独財務相は低金利は長期的な解決策にはならないと述べた。

ドイツでは預金者の金利収入を低下させるとの見方から、低金利への不満が強い。

ドラギ総裁は低金利は長期間続くとしたが、従来言及してきた一段の引き下げの可能性については触れず、金利は「事実上」、下限に到達したと考えていると述べた。

今回打ち出した措置がいつ効果を表すかとの質問に対しては、「金融市場では即時の効果を確認できる公算が大きい。一連の措置による実体経済への効果は遅れて表れることになる。恐らく3、4四半期程度の時間がかかる」と見通した。
by denhazim | 2014-06-06 16:30