欧州中央銀行(ECB)が緩和手段を突然見直した一方
[東京 18日 ロイター] - 2月に上海で行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、各国当局がドル高是正で水面下の合意に達していたのではないかとの観測が市場で浮上している。
欧州中央銀行(ECB)が緩和手段を突然見直した一方、米景気がドル高で失速する事態は各国共通の大きなリスクで、市場不安定化など混乱回避を狙った「協調」があってもおかしくないとの見方だ。当局から肯定する情報はないものの、市場混乱が収束しつつあることが、「協調」への思惑を増幅させている。
<ドラギECB総裁の変節、真の狙いは>
市場の憶測が強まるきっかけとなったのは、10日のECB理事会。中銀預金金利のマイナス幅拡大は予想通りだったが、資産購入枠・対象の拡大や新たな資金供給策導入など、予想外の大規模包括緩和を突然打ち出し、政策手段の軸足を「金利」から「量」へ再び移行させた。
特に注目を集めたのは、階層金利制度の見送り。事前には日銀と似た2段階制の導入を予想する声もあったが、理事会協議の結果は不採用。ドラギ総裁は、期待ほど金利が低下しないことや、複雑さ、追加引き下げの思惑回避などを理由に挙げた。
ECBウォッチャーによれば、域内格差が大きい欧州は、銀行の置かれた環境も非常に多様。一律管理する階層制を採用しても効果が上がりづらい。
だが、銀行間格差の存在は以前から認識され、なぜ今「量」へ方針転換する必要があったのか、との根強い疑問がささやかている。
一部で浮上している「限界説」通りなら、マイナス幅をさらに拡大させてリスクを積み増す必要もなかったはず──。そうした疑問の間で浮上してきたのが協調説だ。
by denhazim
| 2016-03-20 12:11