会場となったマラカナンスタジアム周辺は当日の午前0時から通行止めになり



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会場となったマラカナンスタジアム周辺は当日の午前0時から通行止めになり、早くも厳戒態勢だった。記者は市街地での聖火リレーを見届けたあと、スタジアムのちょうど裏側となる最寄りの駅から徒歩で向かった。本当は正面入り口に回って、全景を写真に収めようとしたかったのだが、道があちらこちら規制されており、思うように身動きがとれなかった。

 チケットに書かれた「Opening Time」は午後7時15分。1時間半前に競技場の「周辺」に到着するも、周囲は軍隊と警察だらけ。渋滞する道にはびっしりとバスやタクシーが並んでいる。自家用車は排除され、公共交通機関のみの通行だが、それでも大渋滞となっている。周囲にはデモ隊というよりは、宗教の布教を目的とした団体がシュプレヒコールをあげているが、警察が排除するまでもなく、穏便な印象だった。

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1173228

 第一関門と思われるところには拳銃を携帯した警察官が。いきなりボディチェックをされる。「失礼します」と口調は丁寧だが、その眼差しは鋭い。腕を真横に上げ、上半身から下半身へ。やけに厳重にふくらはぎと股間周辺を触られたが、問題はなし。すぐ後に荷物チェック、チケットチェックがあって第一関門は通過。

 200mほど歩くと再びボディ&荷物&チケットチェックが。五輪反対派や先日ブラジルで”発見された”IS等、テロ対策に神経を尖らせていることがよく分かる。

 数回のチケットチェックを経てようやく入り口へ。しかしここも大行列。列の後ろのブラジル人に記者の「TOKYO2020」Tシャツをツッコまれ、彼曰く「デザインがすごくいい」と太鼓判。理由としては「シンプルなのが好き」なのだそうだ。「4年後日本に五輪を見に行くから」という彼と話をしながら行列に並ぶが、最終のセキュリティチェックに至るまでここから30分。時計は6時15分、マラカナン・スタジアム周辺に着いてから約1時間となる。

 最後が空港のようなX線チェック。あれだけやったんだから大丈夫だろうと思ったのだが、最後はベルトや時計まで外すことを求められた。

 競技場に入るとコンコースでまたも大行列。ビールや軽食を買い求める人の列だ。しかもとぐろを巻いてどこが最後尾かわからない。ブラジルは日本と違って会計と商品受け渡しが分かれているのが常だ。この行列はほとんどが会計へのもの。「CAIXA」という表示をつけた会計係のところに並ぶのだが、一向に列は進まない。会計係がシステムに慣れていないのと、カードでの支払いができないので、現金の出し入れにとにかく時間がかかるのだ。記者も試しにカードを出してみたのだが「カード不可」の表示など一切なし。30分近く並んで自分の番となるや、「あっち」とカード専用窓口(表示なし)を指さされ、困惑する人が多く見られた。

 なんとかビールを買って席に。マラカナンは広い。スタンドに入ってからも席探しに苦労する。ブラジル人たちはスマホで自撮りをしまくっている。安全な会場内のスマホ所持率はほぼ100%と言っていい。それをすぐさまSNSにアップしている。日本とまったく変わらない光景が広がっている。

 7時15分、前座が出てきて、本番での観客のダンスやスマホを使った演出の説明があったが皆ハイテンション。一生懸命踊りを覚えようとしている様がなかなか微笑ましい。

 8時、開会式がスタート。プロジェクションマッピングによる演技のあと、サンバの重鎮、パウリーニョ・ダ・ヴィオラによるギター弾き語りの「ブラジル国歌斉唱」。素晴らしい歌声にうっとりした刹那、会場は本人の声が聞こえないほどの大合唱。とくに記者の後ろのアンジェラアキ似のメガネ美人の音痴がジャイアンレベル。「ブラジ――ル!この野郎!」と何故か汚い言葉で叫んだり、「ギャー!」と悲鳴を上げたりトンデモない盛り上がり。周りもつられるようにしてヒートアップしていく。

 選手入場では、南米諸国に対して大きな拍手を送っていたブラジル人だが、隣国アルゼンチンに対してはブーイング。ロシアが登場すると一部がブーイングしていたが、やはり「アルゼンチン嫌い」はガチのようだ。

 日本に対しては大きな拍手と歓声。周りにいた日本人と一緒に写真を撮るブラジル人もいた。

 真打ちブラジルが登場すると、会場は大合唱。「オー、レレオーレレオーレレオー、ブラズィル!」とサッカーの応援のコールが自然発生的に始まる。合唱がマラカナンの屋根に反響してすごい迫力。全員総立ちで歌い踊る。一体感ある盛り上がりに鳥肌が立つほどだった。

 サンバの演奏ではとにかく大合唱が印象的だった。ジョルジ・ベンジョール、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル……国民的歌手が歌う唄に、会場のほぼ全員が合わせて歌い踊る。日本に翻ってみて、会場全員が歌って盛り上がれる曲などあるのだろうか。

 閉会式の最後、会場から自然発生的に沸いた、「ブラジル人であることを誇りに思う」という歌詞の唄。それは会場を出てもそこかしこから沸き、歌い踊っていた。問題山積みの五輪だが、このビッグイベントを楽しもうという心意気が伝わってきた夜だった。
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